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2019年4月11日木曜日

メールのことば

こうしたことは、色々なところですでに言われ尽くしている感もありますが。やはりとくにこの時期、学生からもらうメールの文面が気になってしまうのです。

とくに、依頼・勧誘・謝罪等々に使われる文言、まずは自分から送る内容が完結するテキスト(メール)がなんとも興味深い。LINEやメッセージなどのやり取りであれば、前提抜きに要件に入ったり、あるいは反対にやり取りを続ける中で少しずつ言いたい結論に持って行ったりすることができます(スタンプで感情をフォローすることもできます)。これは、やりとりが行われた結果として内容が完結するタイプのテキスト(自分と相手が協力して作るテキスト)と言えるでしょう。

ところが、たとえば殆ど初対面の先生に、「面談をしてください」「授業の相談にのってください」といったお願いをする場面に立たされた時、その文章作成のモードに慣れていない人たちは、どうもその辺に落ちている「型」に頼るようです。

「ご検討お願いします。」
「ご回答よろしくお願いします。」

間違っているわけではなく、ちょっとした違和感。おそらくビジネスメールでは便利に使うことのできる表現なのでしょう(とはいえ、私は使いませんけど)。「検討」「回答」といった相手に対する要求が明確な単語(とくに漢語)は、へりくだる表現と合わせたり、別の言い回しに変えたりして、相手への配慮をしたり、強く響きすぎないくふうをしたりします。

もちろん、要求が明確でないと伝わらないという場面もありますから、決めつけることはできないのですが、要は「その場その場で考えよう」ということなのです。あ、へりくだりなさい、と言っているわけではありません、誤解無きよう。

上に示した表現は、なんだかちょっとエラそうなニュアンスも漂うこともあり、私はできるだけ避けるというわけなのですが、反対に、相手を持ち上げすぎ!(へりくだりすぎ)というのもあります。

「(○○して頂けると)光栄です。」

いや、そんな風に言って頂けるほどの人間ではなく…(笑)なんだか、ほほえましくもあります。

こうした感覚を呼び起こす表現は、歴史的に見ても手紙などの文例集に定型表現として多く登場しています。とくに、書き止め(時に書き出し)の言葉などは、とにかく礼を尽くそうとする言葉のオンパレードです。

「頓首」(頭を地に着けるようにして恭しく礼をする)

などはよく見られるのですが、これが

「頓首頓首」

と繰り返されたり、

「頓首頓首、死罪死罪」

などと「(死に値するほどの)罪をわびる」表現があったり。昔から手紙や文章(に書くべき事柄)に苦労しているのですね、みんな。


私もこんな駄文を書いている場合ではなく、やるべき仕事があるのでした。死罪死罪。



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