ゼミでは、最後に示すような研究活動を行っています。
ここではそうした内容以外の、ゼミの定番・特徴的な活動を紹介します。
毎回の冒頭で「3分間スピーチ」として、共通テーマ「私が日本語史研究を行う意味」について、自由に考えてもらっています。スピーチのスタイル、使用ツールなどに制約はありません。思わぬ面白い角度からの話があり、発表スタイルもそれぞれの個性が感じられます。
ゼミでの共通課題は、平安末期の和化漢文の読解/研究です。これは日本語学研究でも、謂わば「ニッチな」資料、研究と言えます。しかし、私たちは同時に、自分が研究することの意味に自覚的になること、その意味において研究を再定位することも考えようとしています。
平安時代末期に成立した和化漢文体の説話集『注好選』の読解・研究を行っています。毎時担当者を決めて、当該期の和化漢文の「読み」を検討します。
本資料は、一部に片仮名の「読み」が加えられていますが、全体に亘るものではありません。当時の人々がそれぞれの文字をどう読んだのか、和化漢文での漢字の用い方はどのようなルールに基づくのか(そもそも「ルール」はあるのか)、漢字に付された読みは妥当性のあるものなのか、といった観点から、発表者は担当範囲(一人4行分を担当します)の言語の実態を検討します。その過程を通じて、古辞書や同時代の資料の実態が調査され、日本語の歴史の一端を解明していくことになるわけです。