2025年7月30日水曜日

論文(国語教育・古典教育)

以下の論文を執筆しました。
新潟大学教育学部の国語国文学会の機関誌に掲載されたもので、私の恩師の退官記念論集です。「日本語書記の歴史」という観点から教材を分析することで可能となる授業づくりについて考えています。定番教材といえる『枕草子』をとりあげています。

古典の言語文化共同体への参入を促す教材の開発(試論) : 中学校における『枕草子』の授業を例に(『新大国語』42巻、pp.1-18、2025年3月)
 
※以下から論文にアクセスすることができます。 本文リンク(新潟大学リポジトリ)
 

2025年7月18日金曜日

日本語史を学ぶ意味について

ゼミでは、最後に示すような研究活動を行っています。
ここではそうした内容以外の、ゼミの定番・特徴的な活動を紹介します。
 
毎回の冒頭で「3分間スピーチ」として、共通テーマ「私が日本語史研究を行う意味」について、自由に考えてもらっています。スピーチのスタイル、使用ツールなどに制約はありません。思わぬ面白い角度からの話があり、発表スタイルもそれぞれの個性が感じられます。
 
ゼミでの共通課題は、平安末期の和化漢文の読解/研究です。これは日本語学研究でも、謂わば「ニッチな」資料、研究と言えます。しかし、私たちは同時に、自分が研究することの意味に自覚的になること、その意味において研究を再定位することも考えようとしています。
 


====磯貝ゼミの研究課題====
平安時代末期に成立した和化漢文体の説話集『注好選』の読解・研究を行っています。毎時担当者を決めて、当該期の和化漢文の「読み」を検討します。
 
本資料は、一部に片仮名の「読み」が加えられていますが、全体に亘るものではありません。当時の人々がそれぞれの文字をどう読んだのか、和化漢文での漢字の用い方はどのようなルールに基づくのか(そもそも「ルール」はあるのか)、漢字に付された読みは妥当性のあるものなのか、といった観点から、発表者は担当範囲(一人4行分を担当します)の言語の実態を検討します。その過程を通じて、古辞書や同時代の資料の実態が調査され、日本語の歴史の一端を解明していくことになるわけです。


2025年7月11日金曜日

新潟大学人文学部 オープンキャンパス2025

今年のオープンキャンパスは、8月7日(木)・8日(金)の2日間の日程で開催されます。
 
 
 人文学部では、上記会場イベントの他、オンデマンド形式でも学部情報をお伝えします。なお、会場イベントには事前申込が必要です。新潟大学Webサイトの「イベント申込」から登録をお願い致します。
 
また、「全体説明会~ようこそ人文学部へ!」では、私も説明を担当します(午後の予定)。人文学部の学びを知って頂くための模擬講義、学生の声を直接聞くことができるイベント、学位プログラムの展示スペースも充実しています。皆さまとお話しできることを楽しみにしております。

(卒業生のみなさんへ)
夏休み期間、「ちょっと久しぶりに大学に遊びに行ってみようかな」と考えている方、オープンキャンパス期間、確実に私は大学に居ます。顔を見せてくださる方、歓迎します。
 
 

2025年4月2日水曜日

2025年度の研究

2025年度は、以下のテーマで研究を展開します。僧侶の言語生活に関わる和化漢文(変体漢文)の文体研究について継続的に研究を行っています。今期は科研研究課題に関わり、その対象・観点を焦点化しました。

① 平安鎌倉期における僧侶書記用文体の形成と展開(新規)
[科研費:基盤研究(C)・代表者・2025~2028年度(予定)]
直接の研究課題としては、題目にあるように平安鎌倉期における僧侶の文章の文体研究です。その先に大きな目標もあります。日本語は漢字に仮名を交えて自国の言語を書き表す歴史を展開させますが、文体による程度の差こそあれ、漢字から完全に離れる道を選択しませんでした。結果、表面的には影響が見えない事柄にも、見えざる漢字・漢文の影響が生きています。私の研究はそうした日本語書記史の仕組み・展開の様相を平安・鎌倉期の言語状況に見て取ろうとするものです。

② 新潟県における角筆文献言語データ・アーカイブの構築(継続)
[科研費:挑戦的萌芽研究・分担者・2022~2025年度(予定)]

この他、これまでも行ってきた国語教育との連携的研究、教材開発も行う予定です。
個々の研究としては多様な内容が含まれますが、全体の方向は「書かれたものの中に、日本語話者たちのものの見方・考え方の跡をさぐる」という私自身の研究の目的に沿って進むことになります。ここ数年、継続的に考えている課題です。

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