2022年10月27日木曜日

古典の検証授業を実施しました

福山市内の高等学校にて、『宇治拾遺物語』・『今昔物語集』を素材とした新たな古典教育の授業開発についての検証授業を実施しました

この授業は、科研研究課題に関わるもので、

『宇治拾遺物語』と『今昔物語集』~自分の中に「言葉の歴史」を読む~

という単元を設定し、高等学校の協力のもと、全3時間を特別に編成して行ったものです。
 
近年、古典の必要性自体が議論される中で、我々の研究グループでは、〈古典をこちらに引き寄せるのではなく、こちらから古典の世界に出かけていく〉授業観をベースに、現代を生きる学習者が古典作品の「言語生成の場」を追体験することを可能にする「日本語書記史を背景とした教材」を開発したいと考え、研究を進めてきました。今回の検証授業はその一環として実施されたものです。
 
授業を受けたくださった高校生の皆さんは、常々の授業とは異なる形、問いに戸惑うこともあったかもしれません。しかし、最後まで真摯に課題と向き合ってくれました。こちらが予想もしなかった高度な思考の跡を残してくれたワークシートを嬉しく拝見することもできました。心よりお礼申しあげます。この成果はあらためて論文の形で報告する予定です。ここでは検証授業実施の報告として、協力者として授業に参加してくださった大学院生の声を紹介したいと思います。
 
 昨日今日と2日間、ありがとうございました。5年以上の時を経て、高校生の頃古文嫌いだった自分が救われたとすら感じました。
宇治・今昔ともに、高校生の子たちが真摯に愚直に、さらに言うならば対峙して必死に食らいついていたなあと、その姿に学ぶところは計り知れないほど大きいと思わされました。

この2日間で出会った子たちはきっと、
今すぐではなく、数年後、もしくはもっと先かもしれませんが、今回の授業のことをふと思い出す時期があると思います。その「ふと」が今回の授業の成果のかなり大きいところの1つでもあるのだろうなと肌感的にあります。

なにより励みになる言葉でした。
今後も研究を進展させていきたいと考えています。
 
こうした古典の授業に興味のある小学校、中学校、高等学校の先生方、一緒に授業の開発をしてみませんか?本実践で用いた教材以外も研究の対象としています。本Blogのお問い合わせフォーム、もしくは磯貝宛にメール(新潟大学人文学部HPに記載があります)を頂ければと思います。
 
  

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