2015年8月20日木曜日

銘菓「土左日記」と日本語史

お菓子をいただきました。高知の銘菓「土左日記」です。



箱全体が和綴の冊子本の装丁をイメージしたデザイン。現在の「土佐」の表記を採らず、伝統的な「土左」を使っていますね。しかも、左側に写された『土左日記』冒頭は…「をとこもすといふ日記といふ物をゝむなもして心みむとてする」と書いてあります。教科書などで一般に知られている「男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり」とはかなり違った本文。

銘菓『土左日記』のデザインは、『土左日記』諸本のうち、鎌倉時代の藤原定家が写した本文を参照したのでしょう。比べてみると字の形もそっくり。(近代デジタルライブラリー「定家本土佐日記」該当箇所)

『土左日記』が成立後300年ほど経って、紀貫之自筆本を手にした定家は 当時の言語状況に合わせて表記法・用語を変えた本文を生み出しました(今現在から300年前といえば、江戸時代中期ですから…)。二つの『土左日記』を比較するのも中々面白いですよね。それにしても定家本を選ぶあたり、菓子処青柳さんは渋いと思います。

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