2017年6月19日月曜日

第2回「古典教育と古典教材の会」を実施しました

科研の研究活動の一環としてはじめたこの研究会も、2回目の開催となりました(研究会のお知らせ)。今回は、地元新潟だけでなく、東京や富山からの参加してくださった方もありました(一番の遠方は共同研究者の森先生です)。研究者以外にも、中学校、高等学校の先生や指導主事、学部生と大学院生、また出版編集関係の方など、小規模ではありますが多彩な顔ぶれが揃いました。

今回の話題の中心は、『宇治拾遺物語』を教材化していくための観点です。古典の教材文である説話を、個別独立の作品として読むのではなく、内部や外部との繋がりの中で理解し、自らの言語活動を自覚化していく継起とする可能性を探りました。「説話集としての性格を明確にしてくれる文章との出会い」や「比較の方法によって独自の言語表現に気づいていく」といった方法は、新しいものではないのかもしれません。しかし、私たちが目指したいのは、そうした説話集への迫り方によって可能になる
  • 現代の学習者が歴史上の書き手と同じ位置に立つこと
  • 学習者が古典文学や日本語の歴史を経験的に学ぶこと
  • 史的変遷を学ぶ経験を通じて自らの言語観の更新が図られること
といった新たな学びのあり方の創出です。今回の研究会では、時間の関係上、残念ながら教材化の具体的な提案まではいけませんでしたが、提案授業実施の準備も進められています。

というわけで、皆さまのおかげで充実した会となりました。御礼申し上げます。次回開催は未定ですが、ブログ等でお知らせ致します。




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