2016年2月20日土曜日

くずし字学習支援アプリ「KuLA」iOS版を使ってみた

日文(日本語学・日本文学分野の通称。国文とも。)の授業には「実習」というカテゴリーがあり、変体仮名やくずし字読解の力を養成する場があります。読解対象(テキスト)を字書等を引きつつ読み込んでいくのが基本です。古代の日本語は、勿論ことば自体が難しいこともありますが、筆で書写された文献の読解には、なお一層難しさが伴います。でも、それだからこそ「読めた!」という喜びも大きい。国語の教科書で学んだ古典とは全く違う「古典」の世界が広がっているわけです。

さて、このアプリは、変体仮名・草書体漢字の用例画像を参照しながら読解学習を行う〈「まなぶ」機能〉、実際に江戸時代に刊行された和本の画像を使って読解を行う〈「よむ」機能〉、〈「つながる」機能〉を持っています。

特に、実際の古典籍(国文学研究資料館・国立国会図書館からテータの提供)を端末の画面で読むことができ、必要に応じて「翻刻文」の表示ができるのが良いところかも知れません。また、スマホやタブレットでは、ピンチアウト/インによって画像を自在に拡大縮小できるのも利点ですね。

興味深いのは、「つながる」機能。ソーシャルネットワークで他のユーザーに読み方を質問できる、コミュニケーションをとることができるというもの(私は勇気がなくて試していませんが(笑))。個人的には、個別学習の助けというよりは、授業(内外)でテーマを共有しながら学習を進めていくような協働的な方向での可能性を感じました。

このアプリ、平成27年度科研挑戦的萌芽研究「日本の歴史的典籍に関する国際的教育プログラムの開発」(代表・飯倉洋一教授)の成果として、大阪大学文学研究科を中心に開発されたものとのこと。KAKEN科学研究費助成事業データベース

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